モンステラを育てる際に使用する土(用土)は、大きく分けて有機質用土と無機質用土の2種類があります。どちらが優れているかではなく、自分の栽培環境や管理スタイルに合った土を選ぶことが、健全なモンステラを育てる上での最も重要なポイントです。
私は2021年9月からモンステラの栽培を始め、2021年から2024年までは有機質用土で、2025年からは無機質用土での栽培を行っています。有機質用土では、マンションの天井高である約2.5メートルまで株を成長させた実績があり、現在は無機質用土に切り替え、より安定した環境で長期栽培を検証しています。
有機質用土とは、腐葉土・ピートモス・バーク堆肥などの分解性資材を含む土のことを指します。微生物が有機物を分解する過程で栄養が供給され、保水性も高いため、短期間で株を大きく育てたい方には最適です。特に若い株や成長初期のモンステラでは、光合成効率が上がり、葉の展開スピードが速くなります。
ただし、有機質用土は時間の経過とともに用土が密になり、通気性や排水性が低下しやすいという特性があります。その結果、鉢内が過湿になり、根腐れやカビの発生につながるリスクも高まります。
一方で、無機質用土は赤玉土・軽石・鹿沼土・ゼオライトなどの非分解性資材を主体とした土で、通気性・排水性・pHの安定性に優れています。根が酸素を取り込みやすく、過湿や酸欠を防ぐため、長期栽培や斑入りモンステラなどデリケートな株の維持に適しています。有機質よりも成長スピードは緩やかですが、根の密度が高く、株全体がしっかりと締まった姿に育ちます。
私の経験からまとめると、「大きく育てたい人」には有機質、「丈夫で長く維持したい人」には無機質が向いています。どちらにも明確なメリットとデメリットがあり、栽培目的や環境(温度・湿度・日照・風通し)によって最適な土は変わります。
モンステラに最適な土とは、単に“栄養のある土”ではなく、根が呼吸しやすく、腐敗せず、長期にわたって構造を維持できる土です。自分の環境で最も安定して育つ配合を見つけることこそが、モンステラ栽培を成功に導く最大のポイントです。
目次
そもそもモンステラが育つ大自然の土って有機質、無機質どっち?
大自然の土は、有機質 と 無機質 の両方が含まれています。園芸を楽しむ前に、モンステラが育つ大自然の土について、整理しておきたいと思います。
大自然の土は有機質か?
多くの自然の土壌には有機質が含まれています。 有機質とは、動植物の遺骸や落ち葉、微生物の死骸などが分解されてできた成分 で、土の栄養分や保水性を向上させます。特に、森林や草原の土壌 は有機物が豊富で、黒っぽくふかふかした「腐植(ふしょく)」と呼ばれる層が形成されます。では、大自然に無機質の土は存在するのでしょうか?
大自然に無機質な土は存在するのか?
無機質の土も大自然には存在します。 例えば、火山灰、砂漠の砂、岩が風化してできた土壌 などは、主に無機物(鉱物)で構成されています。特に、以下のような環境では有機物が少なく、無機質が主成分の土壌が見られます。
- 砂漠の砂(有機物がほぼなく、鉱物成分のみ)
- 火山地域の新しい土壌(有機物がまだ蓄積されていない)
- 高山やツンドラ地帯(低温で有機物の分解が進みにくい)
結論
大自然の土には有機質が多く含まれるものもあれば、無機質が主成分のものもあります。 ただし、多くの陸地では長い時間をかけて有機物が蓄積されるため、完全に無機質な土壌はごく限られた場所にしか存在しないのが結論です。しかし、大自然で育つモンステラは、地植え状態です。地植えと鉢植えでは、栽培環境に大きな違いがある点を以下にまとめてみます。
地植え(土壌)と鉢植え(用土)の大きな違い
地植え(土壌)と鉢植え(用土)では、環境がまったく異なります。鉢植えは自然環境のような自己調整力や持続性がほとんどなく、人工的に“良い環境”を作らなければなりません。
地植えの特徴(自然環境)と鉢植えの特徴(人工的環境)を整理すると以下の通りとなります。
| 比較 | 地植え | 鉢植え |
|---|---|---|
| 根の自由度 | 高い | 狭い |
| 自然調整力 | 強い | 無し(人の設計が必要) |
| 通気/排水設計 | 自然にされている | 用土設計で調整必須 |
| 有機物の分解 | 微生物が分解 | 分解されず腐敗のリスク |
| 粒径の重要性 | あまり問題ない | 排水性・通気性に直結 |
これらの事より、地植え環境(自然環境)と鉢植え環境(人工的環境)では、全く異なる環境である事が理解できます。本ページでは、鉢植え環境をメインとした有機質と無機質の用土の考え方についてまとめていきます。モンステラの地植え環境に興味関心がある方は、以下ページをご確認くださいませ。
有機質と無機質な用土の違い
有機質の用土 と 無機質の用土 の違いについて、成分・特徴・用途などの観点から整理してみたいと思います。
有機質用土と無機質用土の比較表
有機質と無機質の用土の違いを比較表にまとめると以下の通りとなります。
| 有機質の用土 | 無機質の用土 | |
| 特徴 | 動植物由来の成分 | 岩石・鉱物由来の成分 |
| 保水性 | 高い | 低い~普通 |
| 通気性 | 普通 | 高い |
| 栄養分 | 豊富 | 少ない |
| 耐久性 | 分解される | 劣化しにくい |
| 主な用途 | 花・野菜・観葉植物 | 多肉植物・盆栽・山野草 |
有機質と無機質な用土、どちらを選べばいい?
有機質と無機質の用土を選ぶ選定基準は以下の通りです。
- 水持ちや栄養を重視するなら → 有機質の用土 を多めに使う
- 排水性や通気性を重視するなら → 無機質の用土 を多めに使う
- 一般的な植物には → 有機質と無機質を適度にブレンドして使う
例えば、観葉植物なら「腐葉土+赤玉土」、多肉植物なら「鹿沼土+日向土」 など、植物の特性に合わせて配合するのがポイントです。
まとめ
用土選びは、自らの栽培環境に合う用土を見つける事が大切なので、「これが正解」、「それは間違っている」と決めつける事でも無いですし、押し付ける事でもありません。有機質、無機質の以下の特徴を踏まえ、植物をどう育てたいのか?という考えのもと、自ら最適解を見つける事が大切です。
- 有機質の用土は栄養と保水性に優れるが、分解されやすい
- 無機質の用土は通気性と耐久性が高いが、栄養分が少ない
- 植物に応じて、両方を適切に組み合わせるのがベスト
上記の点を踏まえて、私が実際にモンステラを早く美しく大きく育てている用土についてご紹介いたします。
立派に育ったモンステラが証明するおすすめの土(用土)

